きみのァウ(3)





特に、くノ一のお二方がすごかった。


「えー!拾ったってこの子この子?かわいー、いくつ?」
「ちょっと待って紅。酒こぼしてる。あ、甘いもの好き?」
「へぇ、まだ十代なんだ。お酒駄目なのかぁーむぅー」
「おばさーん!お汁粉二つー!」


拾ったってどんな説明したんですかカカシさん。 紅の方は、まだ夕方だと言うのに相当飲んでいて、アスマにアンコに押し付けつつどんどんあけていく。


「木の葉の酒豪カップルに詰め寄られたら、大惨事になりかねないでしょ、ストップ」
「そうだ、まだ自己紹介してねぇだろうが」
「そうですよ、ゴホッ・・・・・料理もまだ来てませんし」


カカシ、アスマ、ハヤテとフォローを入れて紅がごめんごめんと反省の色が見えない謝罪をした後、アンコから自己紹介が始まった。席順はアスマと紅が隣同士、反対側はハヤテ、アンコ、そしてカカシ。アンコがあん団子をほお張りながら言う。


「大変だね、記憶抜けてるんだって?」
「ねーねー、カカシんちじゃ無くてうち来ない?危なそうー、てかもうカカシと寝た?」
「ストップ紅。未成年にそういう話もってくんじゃないーの。寝てないし。ね?」
「は、はい・・・・・」
「あー、お汁粉来たよはい、ちゃんどうぞー」


次々と上忍たちがペラペラ喋るので、は途中で相槌を打つだけだ。アンコがにっこりと何だか怪しい笑みで置いてくれたお汁粉をすする。お汁粉に罪は無いので黙っていただく。 テーブルに並んだ料理は適当に食べていいと言われたので、少しずつ食べる事にした。


「うーん、でも何処に住んでるんだろうねぇ。チャクラ感じないし一般人?」
「それはどうでしょうアンコさん。・・・ゴホッ、隠しているという可能性も・・・」
「本人の前で余計な画策するな」
「それはアスマに一票だな。一応家族とも会えてないし心細いよね?」
「・・・・・大丈夫です」


それから世間話が始まって、終わる頃には紅は半分酔いつぶれていた。 苦笑いでアスマが送っていくことになり、アンコ達は散り散りに帰っていった。 結局お開きになったのは12時過ぎで、あれやこれや詮索させられたも少し疲れ気味だった。 帰り道はカカシと一緒だ。


「なんかごめーんね?騒がしい奴らで」
「いえ、楽しかったです。料理も美味しかったし」
「ならよかった。最近かまってあげられなかったから、何かあったらあいつらに頼るといーよ」


かまってあげられなかった、の一言にむしろざっくりだ。どうやらはカカシの恋愛対象からはもう圏外らしい。ちょっとかっこいいのになぁと思ってた矢先なので少しショックだ。―――ショックついでに聞いてみることにした。


「・・・・・カカシさんって、彼女いらっしゃるんですか?」
「うんいるよー、今日のには来てなかったけどクレハっていう中忍」


予想はしていたけど、明言されるとそれはそれで悲しい。よほど美人な人なんだろう、と想像はするがそれ以上は切なくなるので寸止めにしておく。


「じゃあ、私が家にいて問題あるんじゃないですか?」
「・・・・別に大丈夫。心配しなくていいよ」


気遣ってくれてありがとう、とカカシはにっこりといつもの笑顔でに笑いかける。大人だなぁと思う。老けてるというわけじゃなく、精神的に考え方が。きっとたくさんの人がカカシさんを想って、いい寄るのだろう。私にはそんな勇気もない。


ちゃんこそ、好きな人とか彼氏いたの?」
「・・・・・いえ、多分いませんでした?」
「なんでそこで疑問形になるの?・・・・まぁ、いっか。思い出したら言ってね。融通するから」


何を、という言葉は辛うじて飲み込む。 それから他愛も無い事を離して家に着いた。 お風呂はカカシが先に入ることになり、はリビングでベッドに寄りかかって胃も心も一休みさせる。


「・・・・ちゃん上がったよ?」


カカシが一風呂浴びて、リビングに戻るとはベッドに寄りかかったまま眠っていた。 きっと疲れていてそのまま眠ってしまったのだろう。 微笑ましいのでカカシはを抱き上げるとベッドに下ろす。 可愛い吐息が聞こえてきて、理性が揺り動かされるがここは我慢しておく。 堪えられるのかなぁと不安になって来た。こんなひとりの少女に。


「・・・・・・・おやすみ」


小さく呟いて、上から布団をかける。 どこからともなく現れた少女は、きっと一生懸命で、自分なんかよりきっと真っ直ぐなんだろう。
なんて。




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20080224
(上忍ズの会話が誰が誰だかわからなくなった)