溺れてる





悪いのはカカシさん、と心の中で呟かないとどうしても心が落ち着かなかった。本当は理由もわかってるつもりで、カカシが上忍だったならそれぐらいの任務だってありえると心のどこかで理解していたはずだ。つもりじゃ駄目だったのかなと、先にたたない後悔は今更だ。


「みつけた」


手を握られてからカカシの気配を感じたはとっさに振り向く。カカシはいつもより元気がなく、少し申し訳無さそうにしていた。


「カカシ・・・・さん・・・・っ」
「聞いて、


真っ直ぐ見つめてくる瞳は何時もより真摯的だ。


「俺が悪かった。任務でも何でもあんなことするべきじゃなかった。その所為でが嫉妬するのもわかるし、すっごく反省してます。でも俺の一番はで、以外の幸せなんて俺にはないよ。一番好きだし、愛してるし、抱きしめたいし。抱きしめてもいーい?」
「な、なんでそっちに転ぶんですかっ」
「えー、恋人として寄り添ってたいってのは当たり前の衝動でしょ。たとえ理由があるにしろ無いにしろ、愛とか好きが足りなかったからは出て行ったんでしょ?安心してこれからずっと俺はのものだから」
「そんな迷惑なものいりませんっ」
「じゃあせめてこっちむいて?」


目をそらすのと同時に、カカシの大きな手が頬を覆って前を向かせる。荷物があるので両手を使えないのをいい事に、カカシは言った。


「わかんないんなら、感じてくれないなら何度でも言うよ?一番は。二番目も三番目も俺は要らない。隣にいて欲しいのはだけだよ。どんなに愛を語ったって足りないなら行動で示す?」
「遠慮しますっ!離して下さい!」
「やだ」


ここまでくると、カカシが子供じみたわがままを言ってるようにしか聞こえない。


「お願い。もう以外の人見ないから。嫌いなんて言わないで。離れていかないで?こんなにに溺れてる魚なのに、餌もくれないの?」
「な、なんなんですかっ、意味解りません!」
「キスして」
「はぁっ!?」
「やっぱスキンシップが足りなかったからこーゆーことになるんだよ。そうそう。ね、、キスして。浮気者の俺が離れてかないように」


お願い、とごり押しされたが、は替わりににカカシの左頬をつねる。


「・・・・・・あの、さん?」
「もう、いいですっ」


カカシの手を思いっきり振って、は歩き出す。何が何が!?と不安そうにカカシは不安そうに後を追って並んで歩いていく。


「まだ怒ってる?誠意が足りなかった?」
「もういいです、十分伝わりました」
「じゃあ帰ってきてくれるの!?」
「・・・・・まあ、折を見て」


喜んでいるカカシの姿が幼稚園児か何かに見える。


「私も悪かったです。カカシさんは忍をやってるわけですし、しょうがないんです。そんなことで怒るなんて器の小さい奴がすることなんです。だから、いいんです。ごめんなさいしてくれればもう、十分ですから」
「・・・・・・抱きしめていーい?」
「だからっ、なんでそう、予測不可能な行動を取るんですか!」
が、可愛かったから抱きしめたくなった」


それだけだよ、とカカシは笑った。






20080316
(カカシさんの言い分はむちゃくちゃだと思う/笑)