案外ロンチック





、雪見に行こう!」
「いやです」


2秒足らずで一蹴されたその提案に、カカシは先程までのテンションの高さとは打って変わって深く沈んだ。朝一の起き立ての休日に、そんなにテンションの高いのはどうなのだろう、とは呆れ気味だ。


「それに何ですか『雪見』って。花見じゃないんですか?」
「雪見だーよ?雪見。字に書いたとおりそのまんま一緒に雪を見に行くってことだけど」
「カカシさんも大概お暇ですね。・・・・そういえば任務は?」


本当は今日までなんだけど、急いで片付けてきた、とカカシは胸を張って言う。


「いーい?」
「駄目です」
「暇でしょ?も」
「でも外は・・・・寒いし」


確かに0度を下回るぐらいの寒さで、冷蔵庫の中のほうがむしろ温かいぐらいだ。あげく、朝からは雪が降っており、外も出歩けないので今日は家の中で掃除でも始めようかとしていた頃だ。


「そんなの俺が帰ってきてからどうとでもしてやるよー?」
「激しくお断りします」
「お願い。の為に急いで任務終わらせてきたんだよ?」


一向に引こうとしないカカシに一方的に押され、結局寒い寒いと言いながら外出する羽目になった。目的はと聞くとそんなのないよ、いつまでですかと聞くといつまででも、と適当な返事が返ってくる。


「あー、ほらほら!こっちだよ」
「ちょっと待ってくださいカカシさん!」


何時の間にやら里の中心街からは離れた所に来ていて、それも丘の上だった。浮かれるカカシを見失うまいと足を急がせる。


「・・・・・・・・すごい・・・・・・」


登りきると、雲の切れ間から日差しが零れていて雪とマッチしてとても綺麗な風景だった。まるでそらからキラキラが無限に降って来るようだった。寒いけれど、寒いから見れる景色にの口はあきっぱなしだ。


「気に入ってくれた?」
「すごいですね・・・・・すごい、綺麗です・・・・・!」
「良かったー」


これを見せたくて引っ張り出してきたのか、とカカシの考えに遅くなったがここで納得する。夏のじめじめした暑い日ざしとは正反対の、強く、煌きが優しい日差しが印象的だ。


「寒いけどたまにはこんなのもありでしょ?」
「すごい・・・・こんなの見た事無い・・・・」
「さっきっからはすごいばっかり?」


隣でカカシが笑う。流石にここまで上手く見れる日も滅多に無いからラッキーなのだろう。


「家の中にいるのも好きだけど、こういうのもいいよねー?」
「え、カカシさんってインドア派だったんですか?」
「別にと一緒なら何処でも関係ないんだけど」


結局そこに収まるのかあなたは、と些細な突っ込みはあえてやらない。


、冬って好き?」
「好きですよ、でも一年中すきですけど」
「俺は冬が一番好き」
「・・・・・カカシさんの髪の色に似ていますよね」


そんな事をもらすと、カカシが吹き出す。


「な、何でそこで笑うんですか!?」
「いや・・・そんなことが言うんだなあと思って・・・・。案外ロマンチックなんだね?は」
「悪いですかっ」
「ううん、すっごい好き」


もう、カカシの好きには慣れたつもりだったがはぷいっとそっぽを向いてしまった。カカシがここぞとばかりにつつきにいく。


「・・・・もしかして、照れた?」
「な、そんなわけ無いでしょう!」
「えー、嘘嘘、顔赤いよ」
「これは寒いからですっ」
「顔にも書いてあるけどー?」
「・・・っ・・・・・・書いてませんッ!」







20080306
(寒い中でのデートもありかと思いますが、晴れていた方が好きです)