つめる感じ





ってなんか上品だよねー、とカカシが言う。


「ま、何ていうかさ、女の子らしさ全開って感じがしていいと思う、俺的には。あ、勿論別にそれがか弱いとかそういう意味をさすんじゃないーよ?ただが食事してる所見ると、不思議と見入っちゃうんだよねー。お箸持ってる指先とか爪とか間接だとか。ほんとに手ぇ綺麗だよね?」


お昼一緒しようよと職場から無理矢理拉致同然に引っ張ってこられ、普通の定食をつついているが、どうしてもカカシの視線が気になる。 勿論見つめる事があるが大抵の場合は目を合わせないことが多い。誘ってるの?、と嬉しそうに聞かれるのはもう聞き飽きたからだ。 だけど今日のカカシはの指先をじーっと飽きてもいい時間ずっと見つめ続ける。 カカシの頼んだ定食はもう少し時間が掛かるらしい。


「・・・・・・何なんですか、いきなり」
「いや、しみじみとそう思う。働いてる手って俺は好きだよ」


誰かを殺す手じゃないから、と理由が付け加えられた気がした。


「勿論の体なら何処でも好きだけどねー?指はベスト10ぐらいには入るんじゃない?」
「何ですかその変なランキングはっ!」
の体の好きなところランキング。10から発表するー?」
「結構ですっ!」


我がままな木の葉の銀髪は真昼間からそんな恥ずかしい事を言うのか、と情けなくなってくる。それに付き合ってる自分も勿論不甲斐ないとは思うが、カカシだったら好きだからの一言でそんな小さな問題は一蹴できるだろう。


、手ぇ止ってる。俺に構わず食べて?」
「・・・そんなに見ないでくれませんかっ」
「じゃあ俺は何処見てればいいの?だっては一緒にいる時目を合わせようとしないし・・・・・まさか見るなとかそんな酷い事言わないよーね?」
「言いませんが、舐め回すように見ないでくださいませんか!恥ずかしいでしょう」
「へーそうなんだー、恥ずかしいんだ?の弱点は見つめられることー?じゃあベッドの中でも、」
「・・・・・・かけますよ」


横に置いてあった水の入ったグラスを握り締めるとカカシはごめん冗談だーよ?と優位に勝ち誇ったような笑みを返してきた。たちが悪いとはこのことを言うのだろう、きっと。 そこでやっとカカシの定食が登場し、箸を割るとカカシも一緒にお昼を食べ始めた。マスクを取って素顔が現れるが、周りの視線を集めようとカカシは気にしないことが多い。


「・・・・・・カカシさんだって十分上手いじゃないですか、食べるの」
「これは習う、と言うか見よう見まねで盗むんだよ」
「どうしてですか?」
「だって変化してた時に女が足開いて座ってたらどう思う?」


下品極まりない上に、変化だと一目瞭然だろう。


「一通りの事はやるよ、マナーとか作法とかはねー」
「そんなこともしてるんですね、忍って」
「・・・・・ま、基本的に相手を騙す職種ですから」


あぁ、でもになら何回騙されても俺だけは信じるよ?とフォローを忘れない所がカカシの細やかさだ。フォローかどうかは曖昧なところだが。


「自分では解らないものだけどさ、ねえの食事の癖って知ってる?」
「癖?」
「これが真似るときに一番厄介でね。癖は特徴として捉えやすいけど同時にばれやすいから注意を怠らないよーにって散々先生に言われた気がしないでもない」


どっちだ。


「・・・・・・食べる時、って一品ずつ食べるよね」
「へ?」


言われてみるとそうだった。勿論ご飯はおかずと一緒に食べるが、味噌汁は後に残すし、サラダ類は最初に食べる。 特に気にしたこともなかったし、言われてみれば納得できた。


「そういえばそうですね」
「回し食いの方が消化にもいいし、太りにくいんだーよ。原理は忘れたけど、最近、体重気にしてるでしょ?」


何故それを。


「ま、風呂上りにじーっと体重計を見つめる姿を何度も見てればそりゃ、ね」
「・・・・・・っ!・・・・・覗いてたんですか!?」
「覗いてた、なんて人聞きの悪い。たまたま目に入っただけだーよ?」
「見なかった事にしてくださいっ!」
「髪ぬれてて色っぽかったよ、可愛かった」


それ以上語らないで下さいっと講義するとカカシが面白そうに笑いを漏らす。本当に見ていたなら大失態だ。一番見られたくなかったのに、とが心の中で後悔しても後の祭り。


「でももう少し体重あった方が俺の好みだけど?」


その不謹慎かつ失礼極まりない発言に思わず手を上げていた。
(避けられた。)








20080221
(食事、で連想して体重の話に・・・・・)