誰のもの君のもの カカシがに、重要な任務だけど7日で蹴りつけて来るねーなんてのん気に宣言してから10日が経った。 彼が帰ってくる兆しもなく、連絡もなく段々不安になってくるのがわかる。 任務にてこずってるのか、それとも怪我でもしたのか、もしかしたら直ぐ次の任務に行っちゃったのかも、なんていうくだらない葛藤が胸の中に沸き起こる。 「・・・・・・・・・あー・・・・・・」 声を出してみるが始まらない。実は溺れていたのは自分の方だったのかも、と魚になったような気持ちになる。 魚は溺れない泳いでいるとそこで訂正。 ぐるぐると取りとめもないことを考えながらの帰宅途中午後6時過ぎ、家の前に紅がいた。 「あれ、紅さん?どうしたんですかこんなところで」 「あちゃーその様子じゃ聞いてないみたいだね」 「・・・・・・・何がですか?」 「カカシが右腕折って病院に入院中、てこと」 「だからどうしてこう貴方は学習能力が無いんですかっ!」 「ていわれてもねー。ごめんね。ちょっと油断してただけだから心配ないよ。心配してくれるのも勿論嬉しいけど・・・・・・・えっと、何?この手は」 ちょっと嬉しすぎて死にそうなんですけど、と理性切れ切れ寸前で堪えたような声で言ってくるカカシの頬をは遠慮なく平手打ち。 結果、避けられる。 はとっさに握っていたカカシの右手をしどろもどろしながら離した。 「人にああいうことを言っておいて自分が骨折とか、人の振り見て我が振りなおせっていうことわざを知らないんですか!?」 「知ってるけど、って弁解も許してくれない?じゃあひたすら謝るごめんね。俺はのものなのに」 「カカシさんはカカシさんのものです変な言い方しないで下さい!」 「じゃあは俺のものでオッケー?」 何ですかその理論はっ、とが噛み付くとカカシは嬉しそうに笑う。 当の本人は病室の上でベッドに座りながら自分を怒ってくれる恋人を微笑ましげに見上げる。 何処からくるんだその余裕は、と内心突っ込みは心の中で留めておく。 「約束やぶってごめんね、でもちゃんと7日には帰ってきたよ?これの所為でちょっと精密検査やらなにやら、この際入院するなら全部やれってお医者さんに押し付けられたからー」 「それはそれで構いませんからっ・・・・・・・その・・・・・っ・・・・」 連絡とか下さいと言おうとしたが、あまりにもカカシの見えない尻尾が左右に揺れ(喜んでいる)、そこで途切れ途切れになって俯いてしまった。 うわ相手の思う壺だとかそんな事を思っても手遅れだった。 「俺は約束守ったよー?じゃあ次はの番。ほらほら?覚えてないなんて言わせないーよ」 「・・・・・・・っ」 そういうことだけはきっちり覚えておくのが彼だと言う事をは改めて思い知る。 帰ってきてからキスをする、は当然のごとく有効。 「・・・・・目っ、瞑ってください・・・・・!」 嬉しそうにカカシは目を瞑る。 マスクをそっと外してカカシの素顔を見れるのは彼女だけの特権と言う事を知ってはいるが、それを改めてここですると何だか恥ずかしい。それでもここって病院ですよね!となけなしの根性を叩きなおそうとするがカカシには勝てない。負けることが目に見えているからで。 「・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 いつの間にか名前を呼ばれていて、気が付くとカカシの左腕が首筋に巻きついていた。 そしてちゅ、といやらしくわざと音を立ててカカシが触れるだけのキスをする。 「遅いよ?」 にっこりと悪戯心見え見えに笑ったカカシは、この後が出て行くのを必死で食い止める立場に成り下がるということになることをまだ知らない。 20080219 (ちゅうがしたかった) |