誰のもの彼のもの 「どうしたの、この指」 つかつかと、なにか悩ましげな表情で歩み寄ったかと思うと怪訝そうな顔をしてカカシはに問う。 偶然町で見かけて手を振ったはいいが、どうも心配性の彼。 の指をそっと救うようにして手のひらに乗せる。 そこには確かに痛々しそうだが綺麗に張られた絆創膏。 「ええと、ちょっと紙で切っちゃっただけです。だから大丈夫ですよ」 「どのくらい?深く切った?痛い?」 「もう治りかけなので痛くないですよ」 そう言うとようやくカカシは一安心したのか、固い表情を緩めてくれた。 ほっと一息ついたような―――でもそんなことでいちいち構ってていいのか、が彼女の本音だったりする。 それから何時ものにっこり営業スマイルをカカシは見せてくれた。 「はさ、ちょっと細かいとこ目ぇいかないの?軽い傷甘く見てたらそのうち病院送りだーよ?」 「そんなこと無いですし。それになめれば治りますよこんな傷」 「もしかしてそれって俺に舐めて欲しいって意思表示?うわ大歓迎いつでも呼んで。飛んでいくから」 「違いますっ!どうしたカカシさんはそういう方向に転がるんですか!」 「のことだからを一番に考えたいじゃない、普通」 さらりと赤面するような事を言われて、は思わず顔を赤くした。 何が面白いのか解らないが、カカシは嬉しそうに目を細めて、もう知らない、と恥ずかしそうに歩き出したの歩調に合わせながら通りを歩いていく。 「どうしてカカシさんがついてくるんですか!」 「さみしいから。ほほえましいから。一緒にいたいから。これから任務があるから」 それから何処から思いつくのか、そんな理由を他に10個程度並べ上げるカカシ。 そして最後に一番肝心だよとでも言いたげに、好きだから、を付け加える。 「どれでもいーよ好きなの選んで?」 「遠慮させていただきますっ、他の人に聞きなさい!」 「うわ酷ーい。恋人を思っての当然心理でしょう。だけ通用しないなんて反則だよ?」 「反則でも何でも良いですから、これから仕事なので失礼しますっ」 わーっちょっと待ったストップ!の声が掛かって正面にカカシが割ってはいる。 ここらへんの動作は悔しい、流石忍だ。一般人に出来ない事をさらりとやってのける。 勿論カカシが一般人なら正面こられる前に駆け出していただろう。 「キスして」 「はぁっ!?」 「これから結構難易度の高い任務に行くんだけど」 「絶対嫌です、ここは公衆の面前ですよ!?」 「え、じゃあ公衆の面前でなければ何をしてもオッケー?」 嬉しそうにからかってくるカカシをは呆れ顔で見つめた後、避けて歩き出した。 あ、酷い、と後ろから抗議の声がする。 「ねー、、お願い?じゃあ、俺がにキスするから」 どこら辺に妥協したのか解らない。 結果的には同じ動作だ。 しかし、諦めの悪い灰色のわんこは、粘りに粘っての右側をべたべたと許可を求めながらくっついてくる。 「駄目?」 大の大人が潤んだ瞳で言う言葉か!と突っ込みたくなってくる。 それを言うと愛だの恋だのなんだかんだ言われるのでここはあえて聞かない。 「わかりました」 「ほんと!?」 「ただし、帰ってきてから、です。それ以上妥協しませんが?」 「いいよいいよオッケーオッケー!約束だからねー?!」 20080219 (だんだん駄目になっていくカカシ先生・・・・。) |